過去に依頼してくださった女性のなかには、特別な事情をお持ちの方もいらっしゃいました。
中には、身体に障害を抱えており、そのことが原因で長いあいだ恋愛や性の経験に踏み出せずにいた女性もいました。
今回はそうしたケースのひとつをご紹介します。(ご本人の許可を得ていますが、プライバシー保護のため一部内容は着色をしています。)
Eさんについて
Eさんは、先天性の難病により体の四肢に障害をお持ちの女性でした。幼稚園のころにはすでに自分が周囲の子どもたちと違うことを認識していたといいます。小学校に上がると、体育の授業に参加できないことや、義足を使って歩く姿が目立ってしまうことをきっかけに、心ない言葉を浴びせられるようになりました。時には、教室の中にひとり取り残されたこともあり、幼いながらに自分は普通じゃないという思いが深く刻まれてたそうです。
中学・高校に進学しても状況は大きく変わらず、身体に生じる痛みや周囲との違いを素直に受け入れることができずにいました。そのため、同性の同級生に対しても心を閉ざしがちで、仲の良い友人はいても、自分の本音を打ち明けることは難しいと感じていたそうです。ましてや男性に対して好意を持ったとしても、自分は選ばれないと感じ、一歩を踏み出すことができませんでした。
しかし大学に入学してから、初めて親友と呼べる存在に出会いました。その友人はEさんの外見や身体的な事情ではなく、人柄や価値観を大切にしてくれる人でした。彼女と過ごす日々を通じて、Eさんは少しずつ心を開き、グループ活動を通じて男性とも自然に関われるようになっていきました。とはいえ、長年抱えてきた身体へのコンプレックスは根強く残り、それが壁となって恋愛関係に発展することはなかったそうです。
女性としての人生を歩みたい
Eさんはその葛藤を胸の奥に抱えたまま、学生生活を終えることになりました。
初恋
社会人になり、指導係についた3歳年上の男性にEさんは次第に惹かれていきます。
学生時代から漫画を描くことが得意だったEさんは、自身で描いたものをイラストとして会社の資料に載せることになったそうです。「Eさんの描く絵は、すごく温かみがありますね」と、その男性に言ってもらえたことがきっかけとなり、Eさんの中に小さな自信と恋心が芽生え始めました。
これまで男性と話した対面で会話をしたことが少なったこともあり、始めは緊張して震えていたものの、次第に自然体で接したり、仕事の相談ができる相手となっていきました。彼は彼女の障害について気にするそぶりを見せず、むしろそれを含めてEさんを尊重しているような空気を感じていたそうです。
その姿勢に触れるうちに、Eさんはさらに惹かれていきます。でも、自分の体に対する不安から一歩を踏み出すことをためらってしまう。
ある日、2人は会社のプロジェクトで隣県の営業先に二人で出かけることとなりました。旅の途中、猛暑日だったこともあり、Eさんは体調不調になり倒れてしまいました。
彼は優しく彼女を支えてくれました。この出来事がきっかけで、Eさんは彼に思いを伝えることを決意します。
失恋
後日、思い切って勇気を振り絞り、Eさんは彼を食事に誘いました。しかし、そこで彼から返ってきた答えは、心に重く突き刺さるものでした。
4年間付き合っている恋人がいるという事実を知った瞬間、Eさんの初恋は静かに幕を閉じました。
振り返ってみれば、彼はいつも一定の距離感を持って接していました。Eさんにだけ特別に優しくしていたわけではなく、他の女性社員に対しても同じように気遣いを見せていた。それでも初めての恋にのめり込んでいたEさんは、その優しさを自分への特別な想いだと信じてしまっていたのでした。真実を知ったとき、胸が張り裂けるような切なさと同時に、周りが見えなくなっていた自分への恥ずかしさを感じたといいます。
けれども、その経験は決して無駄にはなりませんでした。初めて恋をして心を揺さぶられる体験をしたからです。告白という大きな一歩を踏み出せたことで自分自身の成長を実感できました。傷つきながらも、新しい景色を見られたことが何よりの成果だったのです。
- 次こそは本当に私を大切にしてくれる人と出会いたい
- 恋愛をもっと自然に楽しんでみたい
そんな強い思いを胸に、Eさんは次のチャレンジを決意します。ついにマッチングアプリに登録し、プロフィールを作成。初めて自分から積極的に行動を起こしました。これまで一歩引いてばかりいたEさんにとって大きな冒険でしたが、意外にも登録してすぐに男性から食事の誘いを受けることになりました。
恐怖
待ち合わせは仕事終わりの18時、都内の繁華街です。金曜の夜ということもあり、街は活気であふれかえっていました。
少しお洒落な居酒屋に現れた男性は、アプリ上の写真と同じ高身長のスーツ姿の男性でした。
写真と全く違う人が現れる可能性もあると事前に知っていたEさんは、安堵とともに初めてのデートに胸をはずませます。
お店では、掘りごたつの個室に通されました。普段からお酒に強くないEさんでしたが、緊張を和らげるためにビールを一杯だけ口にします。男性は仕事の話や趣味の話をよくしてくれて、とても心地の良い時間になりました。
焼き鳥や刺身の盛り合わせをつつきながら、時間はあっという間に過ぎ、気づけば1時間半ほどが経過していました。お酒の力を借りて、相手に合わせた会話をなんとかこなしながらも、デートをしているという事実が、Eさんの胸を高鳴らせていました。
食事が終わり解散しようと思ったとき、男性からもう1件飲もうよという誘いを受けます。断る理由も思い浮かばず、Eさんはそのまま男性と一緒に店を出ました。
繁華街を歩いていると、急に男性に手を掴まれ、「ここで飲みなおさない?」とホテル街へ腕を引っ張られます。初めての経験でどうしたら良いのか分からず、流されるままにホテルへ入ってしまいました。
部屋へ入り、男性にベッドへ身体を投げられたところで、Eさんは急に目が覚めます。恐怖心が全身を駆け抜け、そのままバッグを掴み何も言わずに部屋を飛び出しました。
複雑な感情
後日、男性からは「驚かせてしまって申し訳なかった」という謝罪のDMが届きました。
スマホの画面を見つめるEさんの胸には、言葉では表せない複雑な感情が広がります。
- 彼とは1か月以上やり取りをしてきた。
- 誠実な人だった。
- 好意を抱いていたのは間違いない。
- もしかしたら流れに身を任せるべきだったのかもしれない。
- アプリを始めたのは純粋な恋愛をするためだった。
- いきなりホテルなんてあり得ない。
頭の中では矛盾する言葉が何度も繰り返され、冷静になろうとすればするほど、自分の心が絡まり合っていくのを感じました。
Eさんにとって、今回の出来事は男性と向き合うことの現実を突きつけられる出来事でもありました。
これまで避けてきた恋愛経験のなさや性経験のなさが、コンプレックスとして顕在意識に浮かび上がってきたのです。
- 私はどうしてこんなに臆病なんだろう
- せめて一度経験していれば違う選択ができたのかもしれない
そうした後悔や自己嫌悪が次第に募る中で、Eさんは気づきます。
まずは、長年抱えてきたコンプレックスを解消しなければ前へ進めないのではないか。
この思いが心の奥で少しずつ形を成し始めました。
依頼
2か月後、Eさんは偶然X(Twitter)上で、VIRGIN THERAPYの存在を知り、勇気を出して依頼をされました。
そこでの経験をきっかけに、自分のコンプレックスと正面から向き合い、少しずつ前に進めるようになったといいます。
今では、マッチングアプリではなく自然な出会いの中で恋愛をすることに成功し、ひとりの女性としての充実感や安心感を持ちながら人生を歩まれていると聞いています。
Eさんにとっての過去の決断の数々は、ただの経験ではなく、自分を解放し未来を切り開くための大きな一歩だったのかもしれません。
